小説「方舟」– category –
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第一章 3 ビッグ・ニュース!
ドーの夜。 地平線の向こうに恒星ドワが沈むと、ダダルもケートも眠りに就く。まだ一度も冬を越していない子供たちも、日没と同時に眠る。それ以外の者は皆、仕事道具をしまうと、集落の真ん中の広場に集まる。ドーの星では、夜は一族全員で同じ酒を飲むの... -
第一章 2 出会い
時は、相対的なものである。5分という時間は男には短か過ぎたが、老婆にはそうではなかった。 忘れようとして、強引に記憶から消し去ったこと。 忘れずにいようとして、しかし、いつの間にか上手く思い出せなくなっていたこと。 それらの両方が、男が矢継... -
第一章 1 ヤン・ドーの赤い星
ヤン・ドーは、小さな赤い惑星で生まれた。海の無い星だった。陸地はすべて、赤い砂岩で出来た岩山ばかりだった。一年中風が強く、その風をかわすために人々は谷に降り、砂岩を削って小さな盆地を作った。そしてそこで、わずかな家畜とともに肩を寄せ合っ... -
プロローグ
とある氷惑星。 その赤道付近にある簡易宇宙港《ポート》に、ひとりの男がやってきた。 宇宙港の管理責任者であるファロー大尉は、ひとつきりしかない小さなロビーでその男を出迎えた。男は大尉を見つけると軽く会釈をし、それから鉄製のベンチしか置いて...
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